治療時や身内の看病の際の「ナイチンゲール休暇」。保険の相互扶助の考え方を応用

    自社のホワイト化に取り組んだ理由・狙いについて教えてください。

    当社は2008年に74年ぶりに独立系(保険会社を母体としない)として誕生した生命保険会社で、主にインターネットを販売チャネルとして保険商品を届けることに挑戦しています。2018年6月に創業者ではない34歳(当時)の役員に経営のバトンが引き継がれ、現在は約150名の社員が一丸となってビジネスを動かす体制になっています。

    新たに新経営方針では「顧客体験の革新」を重点領域として掲げました。社員一人ひとりが「顧客体験」を根本から捉えなおす中で、人事総務部では「ライフネット生命で働く人」を「顧客」ととらえ、「メンバー体験」を向上させるための取組みに注力することにしました。

     

    ホワイト化について具体的な取り組みをご紹介ください。

    特徴的なものを3つご紹介します。

     1.人事制度「Challenge&Growth1.0」の導入

    この制度は2018年から運用をはじめ、社員一人ひとりの「挑戦と成長」を支えています。この制度は「業績貢献度評価/成長度評価」というフレームワークで成り立っていて、特に一年間で「どれだけ成長したか」を評価します。現時点でのパフォーマンスの高さや能力の高さよりも、一年を通じてどんな挑戦をして、どれだけ成長をしたかが重要なのです。

     

     2.複業(パラレルキャリア)の応援

    開業当初から複業をする社員はいましたが、個別に人事に相談してはじめていました。複業は今後働き方のバリエーションの一つとして、さらに世の中に浸透していくと思います。そこで、複業を「社外での挑戦と成長の機会」と位置付け、応援をすることにしたのです。また「パラレルイノベーター採用」という、入社時から複業を前提とした採用枠も設けました。

     

     3.病気(特にがん)と就労の問題への対応

    「挑戦と成長」には心と身体の健康が必要不可欠です。保険の相互扶助の考え方を休暇制度に応用して「ナイチンゲールファンド」という制度を設けています。自分や自分の大切な人が病気になったときに看病のために使える特別休暇「ナイチンゲール休暇」のうち、社員の未使用分の休暇を一定期間積み立てて、がん罹患社員へプレゼントできるようにしています。

     

    その施策、取り組みの効果について教えてください。

     ■人事制度「Challenge&Growth1.0」の導入について

    新人事制度を導入したことで、自分の業務上の役割だけにとどまらず、人生を通してどんな成長を果たしたいのかを考える社員が増えたと思います。期初に業績目標だけではなく、成長度目標もあわせて設定をするので、いいきっかけになっているようです。

    会社の業務ではないところで成長を果たしたことが、会社でも活かされてくるような事例もでてきています。

     ■複業(パラレルキャリア)の応援について

    社員のうち10%程度が複業をしています。本業と近い分野でやっているケースが大半ですが、実務とは全く関係のない複業に取り組んでいる人もいますね。「パラレルイノベーター採用」にはとてもユニークなキャリアを志向している方から応募がきていますよ。

     

    上記取り組み導入から実施、成果があがるまでに苦労したポイントはありますか?

    どの制度もそうですが、実際に社員に使われたり、運用をされたりする中で、今の制度の課題や問題点が浮かび上がってくるものです。人事制度の名称を「Challenge&Growth1.0」としているのも、今が完成形ではなく、より良い形へとバージョンアップしていくことを意図しているからこそです。まだまだ取り組みははじまったばかりなので、まずは多くの社員に使ってもらって、賛否含めて様々な意見をもらうことが大事だと思っています。

     

    自社のホワイト化に取り組んだ後、社内・社外から感じられた効果はありますか?

    「ホワイト企業アワード 2018」を受賞させていただいてから、学生や社会人の方など求職者の方たちから声をかけていただくことは増えたと感じています。社内の制度や社風など、会社に入らないと見えづらい部分が、第三者からのお墨付きによってクリアになったと思っていただけるのかもしれません。

    今後の課題・これから先目指す「取り組み」をお教えください。

    「挑戦と成長に満ちあふれたあたたかい組織づくり」を目指しています。社員の抱えている事情は千差万別。挑戦と成長をしたくても、ライフステージによってはそれを形にできないこともあるでしょう。そういう社員には寄り添い、次の挑戦と成長の機会に向けてともに準備ができる人事でありたいと思っています。

    社員との1on1の継続的な運用、全社員サーベイからの組織課題の抽出とタイムリーな改善行動の実施、ライフステージや期待役割と連動したキャリアカウンセリング機会の提供などに力をいれていきたいですね。