男性育休(育児休業)の内容とは?取得推進のために意識すべきこと3つ

「イクメン」という言葉もよく聞くようになり、男性も育児に積極的に参加することが社会的にフィーチャーされるようになってきました。ですが、それでも男性の育児休業取得率は、非常に少ない状況です。

男女問わず育児休業を取得し、柔軟な働き方ができるようにすることは、価値観が多様化している現代の企業には必要不可欠です。法律で定められている男性育休はどの程度の期間利用できるのか、給付金額はいくらになるのかなど、内容をおさらいした上で、企業が男性育休を推進していくために重要なポイントを解説していきます。

男性育休取得の現状

厚生労働省は、2020年度までに、男性の育休取得率を13%に引き上げることを目標としていますが、2019年度の厚生労働省の調査では、男性の育休取得率はわずか7.48%でした。取得率は年々向上しているものの、目標には及ばない現状があります。また、2015年度調査によると、男性の育児休業取得は、5日未満が56.9%と一番多く、取得した80%以上が1か月未満という結果が出ています。

日本では、「男性は働き、女性が育休を取得し家事・育児をするもの」という価値観の名残があります。女性のキャリアアップが認められるようになった現代においても、会社の風土によっては、育児は女性が頑張ることと捉えられている場合が少なくありません。

ですから、パパとなる男性社員が育休を取得したいと思っていても、会社内での男性育休取得事例が無かったり、上司が否定的な意見を持っていたりすると、なかなか取得することができません。また、業務が忙しく休めない場合や、育休を取得して会社から離れることで、その後のキャリアに響くのではないかという不安感をもつ場合もあります。男性の育休取得がなかなか進まないのは、人によって様々な理由があります。

そんな中、新型コロナウイルス感染症が、男性の育休取得にも影響を及ぼしたことが考えられます。

NPO法人ファザーリング・ジャパンとスリール株式会社が共同で実施した、「コロナ禍前後の妊娠出産アンケート結果」によると、新型コロナウイルス感染症によって、テレワークの導入が進んだり、以前の業務が進められなくなったりといった変化があったことで、男性が育児休業を取得することができたという声があります。里帰り出産が叶わなくなったことで、育児休業の必要性が増し、取得せざるを得ない状況になったという方もいます。


引用:https://drive.google.com/file/d/1rKhNE779s5MCfyOwZty-BorQF0f8J-R_/view

また、「父親の育児休暇・休業取得」に対する希望が実現した割合は、コロナ禍以前の出産よりもコロナ禍出産の方が、実現割合が高くなっています。今までなら育児休業を取れない環境にあった男性が、新型コロナウイルス感染症による環境の変化によって、取得する結果となったことが理由と考えられます。

男性の育児休業制度の内容

男性の育児休業制度は法律によって定められており、企業に育児休業に関する制度がなかったとしても、申し出れば取得することができます。時短勤務や子の看護休暇制度など一般的な制度の他に、男性の育児休業を利用する際に役立つ制度内容についてご紹介していきます。

パパ休暇

厚生労働省は、両親で育児休業を取得することを推進しており、男性のための育児休業である「パパ休暇」を整備しています。


引用:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000169713.pdf

「パパ休暇」は、ママの出産後8週間以内に、パパが育児休業を取得した場合、再度パパが育児休業を取得できる制度です。共働きの場合、ママに合わせて一緒に育休取得することで、産後だけでなくママの職場復帰をサポートするねらいがあります。

パパ・ママ育休プラス

さらに、両親がともに育休取得することで、休業可能期間が延長される「パパ・ママ育休プラス」という制度があります。


引用:同上

育児休業は、子の1歳の誕生日前日までの間に取得できる休暇ですが、この制度を利用することで、パパかママのどちらかが1歳2ヶ月まで延長して育休取得ができます。


引用:同上

上の画像を見ていただくとわかるように、両親が一緒に取得する、ママの育休のあと交代でパパが取得するなど、それぞれの事情に合わせてフレキシブルに取得することが可能です。

育児休業給付金

育児休業給付金とは、育児休業を取得した際、労働者が雇用保険から給付される給付金のことです。休業開始から6ヶ月は取得前の給与の約67%、それ以降通常1歳(対象期間延長要件に該当する場合は1歳6カ月、または2歳)まで約50%にあたる給付を受けられます。

妻が専業主婦でも、男性が育児業を申請し、取得すれば育児休業給付金をもらう事ができますし、共働きの場合でも、女性が産後休業後にそのまま育児休業に入り、男性も育児休業を取得すれば、夫婦それぞれで育児休業給付金が給付されます。

ただし、休業開始時から賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が企業から支払われている場合や、休業期間中に就労している日数が10日(10日を超える場合は、就労している時間が80時間)より多い場合は給付を受けることができません。

男性育休取得を推進するために意識すべきこと

子の出産に伴い育児休業を取得したいと考える男性は少なくありません。今後、柔軟な働き方ができるように整備することは必須事項といえますので、男性の育休取得がしやすい環境を作り上げていくことが大切です。具体的に、どのような点を意識して改革していけばよいのでしょうか。

上司から取得を促す

今の管理職世代が若手社員だった頃と現在では、働く女性の割合などが大きく変わり、それに伴って仕事観や家庭観というものが変化しています。管理職にあたる人々が男性の育休取得について否定的な意見を持っている場合、当然の権利として取得できるはずの育児休業の取得が難しくなってしまいます。

管理職が自ら育児参加を推進しているような企業、いわゆる「イクボス」が当たり前にいる企業は、上司から部下へ育休取得を促す動きが自然と生まれるため、育休取得率が高まりやすいです。社内報で男性の育児参画について紹介したり、部下の育休取得を評価制度に組み込んだりすることで、否定的な管理職の意識を変えて、全社的に育休取得がしやすい空気をつくることが大切です。

常に業務内容を共有する

誰かが欠けても業務に滞りがないようなシステムづくりに努めることは、柔軟な働き方を実現する上で必要です。業務について熟知しているのがひとりだけ、という状況では、育休を取りたくても取りづらくなってしまいますので、他の人も同行して複数人でミーティングに参加するなど、業務の共有を日ごろから十分にしておきます。そうすれば、休暇のための引継ぎもスムーズに行うことができ、業務に支障が出ないように育休取得に踏み切ることができます。

育休中も会社とのつながりを感じられる体制づくり

男性が育休を取得するのを躊躇してしまう原因のひとつとして、その後のキャリアに響いてしまうのではないか、会社に居場所がなくなってしまうのではないか、という不安感が挙げられます。

先述のとおり、育休期間中であっても、就業日数が10日(10日を超える場合は、就労している時間が80時間)までであれば、就労していても育児休業給付金の対象となります。テレワークなどを駆使し、定期的に会議や面談に参加することで、育休中でも会社とのつながりを感じることができますし、休暇中の会社の動きを知って安心感を得ることができます。

男性育休に関連したレコリクまとめ

レコメンドリクルーティング(レコリク)とは、「優れた企業がおすすめされる仕組み」を指し、採用や従業員の働きがい向上のために信頼できる第三者機関の評価・表彰を取得し、自社の価値を向上するブランディング施策のことです。男性育休に力を入れている企業を評価するレコリクをピックアップして、紹介します。

くるみんマーク・プラチナくるみんマーク

厚生労働省「くるみんマーク・プラチナくるみんマーク」より

次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができる制度です。

くるみんマーク・プラチナくるみんマーク(厚労省HP):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html

イクメン企業アワード・イクボスアワード

イクメン企業アワード、イクボスアワードロゴ
「イクメン企業アワード」は、男性の仕事と育児の両立を促進し、業務改善も図られている企業を表彰しています。「イクボスアワード」は、部下が育児と仕事を両立できるよう配慮し、業務を滞りなく進めるための工夫をしつつ、自らも仕事と生活を充実させている管理職を「イクボス」として表彰しています。

イクメン推進企業・イクボスアワード受賞者(イクメンプロジェクトHP):https://ikumen-project.mhlw.go.jp/company/list/

ホワイト企業認定

弊財団が運営しているホワイト企業認定は、企業のホワイト化を総合的に評価する国内唯一の認定制度です。
日本企業の制度や取り組みを調査し、ホワイト企業としてバランスよく取り組むべき7つの項目を基準化。

企業が取り組むべき7項目
(ビジネスモデル/生産性、ワーク・ライフバランス、健康経営、人材育成/働きがい、ダイバーシティ&インクルージョン、リスクマネジメント、労働法遵守)

上記の7項目を各10問、合計70設問で取り組み実施有無を確認し、5段階評価で認定を付与しています。また、7項目70設問の認定審査を受けていただくと、自社の制度・取り組みが可視化でき、人事・労務など企業ご担当者の物差しになるよう基準を作りました。

▽ホワイト企業認定審査の詳細はこちらの記事もご覧ください。▽

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男性育休取得に力をいれている企業事例

・日本生命保険相互会社
2013年度から男性職員の育児休業取得100%を全社目標に掲げ、実際に6年連続で100%を達成しています。

▽従業員への取り組み|日本生命HP
https://www.nissay.co.jp/kaisha/csr/jugyoin/

・三菱UFJファイナンシャル・グループ
2019年度から、男性に約1ヶ月間の育児休業取得を推奨する取り組みを行っています。
また、グループ内企業ごとに、育児参画している男性とその上司を社内報で取り上げたり、取得推進メールを送信したりすることで、育休取得率を高める環境づくりをしています。

▽ダイバーシティレポート2019|三菱UFJファイナンシャル・グループ
https://www.mufg.jp/dam/csr/employee/diversity_report/pdf/diversity_report_jpn_2019_ja.pdf.pdf

・コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社
2019年1月より、子供が誕生した男性社員を対象に、上司からオリジナルデザインのエプロンである「パパエプロン」を手渡しすることで、男性社員が育児休暇を取得しやすい風土づくりをしています。

▽男性社員のPAPA TIME(パパタイム)促進に向け、上司を通じて「パパエプロン」をプレゼント!|コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社HP
https://www.ccbji.co.jp/news/detail.php?id=532

まとめ

「イクメン」「イクボス」ということばが広く知られるようになりましたが、まだ男性の育休取得は当たり前にはなっていません。仕事や家庭に対する考え方が多様化していくなかで、働き方を柔軟に選べる仕組みをつくることは、優秀な人材を流出させないことにもつながり、これからの時代において疎かにはできないことです。男性の育休取得を推進し、各々のワーク・ライフバランスを実現できる環境づくりを目指しましょう。