女性の活躍を推進したい企業必見!背景と現状、メリットを解説

政府が「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%まで押し上げる」と目標を掲げたことで、女性活躍推進法が施行されました。
これにより女性管理職の増加を目指す動きが活性化していますが、思うように推進できていない企業が少なくないのが現実です。

では、なぜ女性の活躍推進が浸透しないのでしょうか。
企業側の視点から女性活躍推進における課題やメリットを解説していきます。

女性活躍が推進されている背景

政府はこれまでに、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法、次世代育成対策推進法など、雇用における男女格差問題や女性の社会進出を図るさまざまな対策をとってきました。
そして2016年4月にはさらに、女性の活躍の場を広げる法律である「女性活躍推進法」が施行されました。

では、なぜ急ピッチで女性の活躍が進められているのでしょうか。

厚生労働省が発表している資料を参考に、女性活躍が推進されている背景を探ってみました。

少子高齢化による労働力不足

【出典】女性の活躍推進が求められる日本社会の背景 – 厚生労働省

厚生労働省発表の「将来の労働力需要に関するシュミレーション」によると、現状のまま2030年を迎えると就業者数が821万人減少するとの予測が出ています。

しかし、経済成長と労働参加が進むケースでは、就業者数の減少が167万人にとどまることがわかりました。

女性の活用が急がれる背景には、少子高齢化に伴い深刻化する労働力不足問題があります。

男女間賃金格差の是正

【出典】女性の活躍推進が求められる日本社会の背景 – 厚生労働省

日本は、国際的にみて男女間の賃金格差が大きいことがわかっています。
これは男性に比べて勤続年数が短いこと、役員や管理職などの指導的地位にある女性の割合が諸外国に比べて低い水準にあることが関係しています。

そこで女性の管理職の割合や就業率を向上させ、男女間の賃金格差を縮小させる動きが進んでいます。
しかしながら、労働時間の増加や責任の重さなどを理由に「管理職になりたくない」と考える女性が多いのが現状です。

女性の活躍を推進したい企業は、能力の高い女性社員を管理職として育てる教育体制を整え、管理職になったあとも働きやすい環境を整えることが重要です。

再就職できない女性が多い

【出典】女性の活躍推進が求められる日本社会の背景 – 厚生労働省

出産や育児を理由に仕事を離れていた女性が再就職を望んでいるにも関わらず、思うように復帰できない状況にある女性が多いことがわかっています。

上記資料の「雇用者数の推移」と「女性の年齢階級別就業率と潜在的労働力率」でも、就業率と潜在的労働力率の差が大きいことが読み取れます。
就職を希望する女性の数は315万人にのぼり、30代の就業率が低くなる「M字カーブ」が明らかになりました。

こうした女性の社会進出を妨げる要因を取り除くことで、労働力不足を補うことができると考えられています。

女性活躍を推進する国の動き

政府は法律の施行・改正や表彰制度の実施により、企業における女性活躍を推進しています。

改正女性活躍推進法

第3次男女共同参画基本計画(2010年12月閣議決定)において、政府は「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%まで押し上げる」との目標を設定しました。
これを受けて2016年4月に施行された女性活躍推進法は、女性の職業生活における活躍を推進するための法律です。

一定規模以上の企業に対して、女性活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表が義務化されました。

2019年5月29日には女性活躍推進法の一部を改正する法律が成立し、6月5日に公布されました。
これにより、以下の3点が改正されています。

  • 一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大
    策定・届出義務および自社の女性活躍に関する情報公表の義務の対象が拡大されています。
    改正前:常時雇用する労働者が301人以上の事業主
    改正後:常時雇用する労働者が101人以上の事業主
  • 女性活躍に関する情報公表の強化
    対象事業主は、情報公表項目について、
    ①職業生活に関する機会の提供に関する実績
    ②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績
    の各区分から1項目以上公表する必要があります。
  • 特例認定制度(プラチナえるぼし)の創設
    改正前にも女性の活躍推進に関する取り組みの実績状況が優良な企業に対して、申請により厚生労働大臣の「えるぼし認定」を行っていました。
    改正後、さらに水準の高い企業に対しては「プラチナえるぼし(仮称)」の認定を創設することとなりました。

表彰制度・認定制度

経済産業省は東京証券取引所と共同で、2012年度より女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」「準なでしこ」「なでしこチャレンジ企業」として選定・発表しています。

なでしこ銘柄は、中長期的な企業価値の向上を重視する投資家に対して、女性活躍推進に優れた上場企業を魅力ある銘柄として紹介し企業への投資を促進することを目的としています。
そのほか、各社の取り組みを加速化していくことを狙った制度です。

東京証券取引所の全上場企業約3600社の中から、平成30年度は「なでしこ銘柄」を42社、「準なでしこ」を22社選定しました。

  • なでしこ銘柄
    一定のスクリーニング要件を通過した企業について、女性活躍度調査のスコアリング結果に財務指標(ROE)による加点を経て、業種ごとに「なでしこ銘柄」を選定します。
    今年度はスクリーニング要件として「女性取締役が1名以上いること」を追加しました。
  • 準なでしこ
    「なでしこ銘柄」の次点企業を業種枠に関係なく「準なでしこ」として選定します。
    「準なでしこ」については、取締役、または監査役、または執行役員のいずれかの役職において女性が1名以上いることを条件としています。
  • なでしこチャレンジ企業
    女性活躍度調査に回答し、公表を希望した企業について、女性活躍推進に関する取組・開示状況を一覧化して「なでしこチャレンジ企業」としてPRしています。

【参考】女性活躍推進法特集ページ – 厚生労働省
【参考】女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」- 経済産業省

企業における女性の活躍推進の現状・課題

女性が職場で生き生きと働くことができるように定められた女性活躍推進法ですが、実際に女性社員が活躍するためには多くの課題が残っているのが現状です。

女性の活躍推進の目的が明確でない

女性の活躍を望んでいながらも、女性の活躍を推進する目的や意義を明確にしていない企業は少なくありません。

推進力を高めるには、会社への影響や目標とすべき姿をしっかりと思い描くことが大切です。
「〇年後までに女性管理職の比率を〇%まで引き上げる」といった具体的な数値目標を設定するとよいでしょう。

女性を育成する風土がない

女性自身の仕事に対する意識が低いことや、良質な仕事にアサインしてもらえていないことから、中堅になる前に退職するケースが多いです。
そのため、企業では管理職適齢期にあたる入社10~15年目の女性が少ないことが現状です。

この背景には、「女性は結婚や出産を機に家庭に入るべきだ」という考え方や、家庭を持った女性に対して重要な仕事を任せない企業の慣習などがあります。

女性の活躍を推進するにためには、まず女性を育成する環境を整えることが重要です。

ロールモデルがいないこと

働く女性たちは管理職というキャリアに対して「残業が多い」、「緊急時の対応を迫られる」といったマイナスのイメージを抱くケースが多く、昇進に対する希望が男性に比べて低い傾向があります。

これは現在の女性管理職の姿を見て「私も同じようになりたい」と思えないことが原因であると考えられます。

企業はキャリアアップを目指す女性に対して、

  • やりがいを感じる仕事内容の構築
  • 子育てしながら働き続けられる制度や職場環境の提供
  • 柔軟な勤務時間の提案

など、仕事を続けたいと思えるようなメリットを見出せるアプローチをしなければなりません。

【参考】女性の活躍推進が求められる日本社会の背景 – 厚生労働省

女性活躍推進による企業へのメリット・効果

女性活躍推進法は、女性の社会進出を後押しすることを目的としていますが、働くことを望んでいる女性に対してだけでなく、企業にも多くのメリットをもたらします。

優秀な人材を確保できる

女性社員の積極的な採用や管理職への登用をはじめ、育児や介護に対する支援、休職後の復帰支援など、女性にとって働きやすい環境を整えることで、優秀な人材が集まりやすくなります。

業務の改善が期待できる

女性を管理職へ登用することで、男性では気が付かなかった新たな問題点を発見するなど、業務の改善が期待できます。

女性をターゲットにした商品やサービスを同じ女性目線で開発することで、男性主体で行った開発よりも顧客満足度が高くなる可能性もあります。

企業イメージがアップする

女性活躍推進に向けた取り組みを進め、厚生労働大臣認定の「えるぼし認定」や「プラチナえるぼし(仮称)」、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「なでしこ銘柄」などを受けることで、女性の活躍を推奨している先進企業としてイメージアップにつながります。

女性求職者の目にも留まりやすくなるため、企業のイメージアップは優秀な人材の確保にも貢献します。

企業文化の改革につながる

「男性は縦社会、女性は横社会」と言われているように、女性は上下関係を超えたコミュニケーションが得意です。

こうした特性を持った女性が活躍することで、男性中心の企業体質を改善し、時代に見合った新しい風土が生まれやすくなります。
積極的な意見を出しやすい風土によってイノベーションの創出も期待できるでしょう。

まとめ

まだまだ課題が山積みの女性活躍推進法。

まずは企業にとってどのようなメリットがあるのかを理解し、5年後10年後を見据えた長いスパンで施策を立ててみてはいかがでしょうか。

女性活躍推進法の具体的な取り組み事例については、「女性の活躍推進したい企業必見!取り組む内容と企業事例を紹介します」をご確認ください。